氷上とインライン両方で活躍するスピードスケート選手サスキア·アルサルは、その強い意思と覚悟で知られる。トレーニングなしの生活は想像できないと語る彼女は、どんな人にも、体を動かして運動後の爽快感を楽しむことをすすめている。それには、達成感と心のバランスという特典もついてくる。
サスキアはアダヴェレという小さな村の出身。同年代の子どもたちがたくさん住む団地で育ち、空き時間には活発に体を動かして過ごすことが毎日の生活の一部だった。さまざまなスポーツ競技会が催され、2人の姉たちも、年下の子どもたちの大会運営を手伝っていた。学校間の対抗試合も多く、サスキアは、バスケットボール、バレーボール、サッカー、陸上競技、スキー、スケートとあらゆる競技に参加した。
「その頃の私にとっては、スケートにまだ特別な意味はありませんでした。みんなフィギュアスケート靴かアイスホッケー靴を持っているだけで、スピードスケート靴を持っている子はいませんでした。見たことがなかったので、そんな競技があることさえ知りませんでした。ある年、一人の少年がスピードスケート靴を持って競技会にやって来た時には、みんなどうしてそんなに速く滑れるのか不思議に思ったものです。その後、 ヴェイノ·トレイマンのはからいで、私たちの学校にフィンランドからスピードスケート靴が届き、興味を持つ生徒は誰でも実際に使ってみることができました。私も試してみましたが、とても違和感があったので、最初はそれほどワクワクはしませんでした」
はじめに決意ありき
当初はスケートが得意ではなかったサスキアだが、ある時から事態は進展し始める。初めての海外大会出場をきっかけに、どんどんのめり込んでいき、他のスポーツはなおざりにされていった。年を追うごとにトレーニングは厳しさを増したが、まだスピードスケート選手になろうと決めていたわけではなかった。その競技に全力を注ごうと初めて真剣に決意したのは、2011年にドイツにあるインツェル·スピードスケーティング·アカデミーへの留学を決めた時だ。高校卒業までまだ2年残っていたので、エストニアを離れることは、残りの勉強を一人で続けなければならないことを意味した。
「コーチのトリスタン·ロイは、こんなに決意の固い17歳の少女に会ったのは初めてだと言っていました。朝のトレーニングが終わればすぐに、ランチテーブルで教科書を開いていました。実を言うと、特別なことだとは感じていませんでした。あたまりまえだと思っていましたし、高校をきちんと卒業することは私にとってとても大切なことでした。今振り返ると、あの頃どうやってそんなことをすべてこなせていたのかわかりません。振り返って考える方が、当時実際やっていたよりも大変なことのように思えます」
より強い自分のために
決意、目標、そして高いモチベーションは、今に至るまで、サスキアについて語る時のキーワードだ。何が、多くの困難にもかかわらず彼女をスポーツに駆り立てるのかは、はっきりとはわからないと言う。「私が、『ノー』という答えを受け入れない性格だからかもしれません。常にチャンスがあると信じています。今日の私は昨日の私よりも強くなりたいと思っていますし、スピードスケートには常にベストを尽くします。もっとできたのにとか、もっと頑張れたのにとか感じることがあったなら、一生自分に腹を立てることになるでしょう」
サスキアは、自分が年々成長しているのを感じている。今最も重点的に取り組んでいるのは、スケートの技術面だ。向上させるのが難しい分、まだ伸びしろがあることがわかる。さらに上を目指すことが彼女の最大のモチベーションだ。
不可能はない
何度か挫折も経験したが、このエストニア最高のスケーターが競技生活をあきらめようと真剣に考えたことはない。2、3日以上トレーニングを休んだら生きていけないというサスキアは、ワークアウト後の爽快感や達成の喜びは誰にとってもトレーニングの一番のモチベーションになるはずだと信じている。すぐに手に入れることのできるご褒美だからだ。「私は、終わった後は階段を上るのもやっとというようなハードなトレーニングもよくやります。競技力を上げるためには何かを変える必要があるので、ほとんどのセッションを全力に近い強度でこなします。何事においても、自分を超えることは、大きなモチベーションです。無理に思えたトレーニング·スケジュールを実際にこなしきった後は、何でもできる気になるのです」とサスキアは語る。
体だけでなく心にも効くのが、運動の魅力だとサスキアは言う。もしあなたが解決できないストレスや問題を抱えているとしよう。トレーニングでの目標設定は、生活の中の他の分野の問題克服にも役立ってくれる。「例えば、週に2~3回5 km走ることを目標にして、それが日課になれば、他のことに対してもやる気が出ます。重い腰を上げてジムまでの道のりへ最初の一歩を踏み出すことが一番大変なんです。一旦たどり着いてウォーミングアップをすませてしまえば、トレーニング自体は何でもないでしょう」
ナイキがやる気にさせてくれる
トレーニングを支えてくれるスポンサー、ナイキの快適でかっこいいウェアやシューズは、サスキアのお気に入り。クールなトレーニング·グッズはモチベーションを与えてくれるし、ナイキのトレーニング·シューズは、彼女が今まで試した中でも最高だと言う。
「ナイキは、フットウェアのラインナップも豊富で、ライフスタイル·ウェアもどれもクール。ナイキのスタッフのみなさんも好きです。何を選ぶか、何をどうやって身につけたらいいか、いつも的確なアドバイスをもらっています。あまりショッピング好きではないので、アイテム選びを手伝ってくれる人がいるのはとても助かります」とサスキアは満足気に語ってくれた。